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日本各地の富士山に似た「すり鉢状の多彩な火口」
火山が多い日本列島では様々な火口があり、爆発した形や周辺の違い、マグマの粘度や水分量の違いなどで、火山や火口の形も異なります。また数千年以上という永い年月を経て、火口壁、火口底の姿も変化してゆきます。今回は富士山に似た姿を持った火山、および”すり鉢状”の火口を集めてみました。赤い火口壁を有し、植物を受け付けないような比較的新しい火口。ようやく低い草木のみが生え始めた火山礫や火山岩に囲まれて火口底は、まだ荒々しい景色です。一方、3千年以上の年月を経た火山では、山全体、火口壁、火口底にも緑の草木で覆われ・・・、名勝地や天然記念物に指定された火山となっている山もあります。
北海道の摩周岳(ましゅうだけ)は、摩周湖を取り巻く外輪山の最高峰で、標高857m(湖面標高502m)の火山です。アイヌ語で「カムイヌプリ」とも呼ばれ、神の山としてあがめられてきました。およそ1000年前に発生した爆裂火口の跡です。直径1.5㎞×1.25㎞の大きさで形成され、現在は活動を休止しています。
吾妻小富士は福島県にあって、火山の噴火でできた山標高1,707mの火口です。磐梯吾妻スカイライン最大の見どころで、浄土平のシンボルとして古くから親しまれている名山です。とくに福島市側から見ると小型の富士山を思わせ、中央の噴火口が摺り鉢状になっているのが見られます。
米塚は熊本県にある阿蘇五岳のひとつ杵島岳の西側に位置する、美しい小さな休火山です。約3,300年前の噴火で形成された典型的なスコリア丘で、比高約80m・山頂標高954.3m。頂上のくぼみは、噴火の名残ですが、伝説では建磐龍命が貧しい人々にお米をすくって分け与えた跡だとも言われています。国の名勝及び天然記念物に指定されています。
大室山は、静岡県の伊東市にある標高580mの火山で、伊豆東部火山群の中で最大のスコリア丘です。約4000年前に平らな土地で噴火が起こり、火口の周辺に降り積もってできました。山全体が国の天然記念物に指定されています。
小さいが美しくて、富士山によく似た火山を見ると、なぜか心が浮き立ちます。そして”すり鉢状”の火口底を見ると、永い、永い年月の変化を感じます。火口底は、何か語っています。(潮 信輔)
- 登録日
- 2019年03月20日
- 更新日
- 2019年03月20日 11時 31分