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南会津「塔のへつり」の四季
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国指定の天然記念物である「塔のへつり」は、南会津を流れる大川が形成した渓谷の景勝地です。「へつり」とは、“川岸が切り立ったような崖”を言い、この地方での方言で“危険な崖”との意味とか・・・。この地帯は凝灰岩や凝灰角礫岩などが層をなしています。そして軟弱部が、100万年もの長い年月による風化や水の浸食によって削られ、洞窟や奇岩・怪岩を形成したものです。
全長約200mにわたって、屏風岩、烏帽子岩、九輪塔岩などの奇岩が並ぶ岸壁・・・。それらの岩の下は、岩肌に掘られたような自然の遊歩道となっていて、揺れる吊り橋につながっています。
「塔のへつり」は四季の変化で、姿も周りの景色も移り変わります。秋、紅葉の疎林と奇岩が川面に影を宿し、渓谷を渡る秋風がヒラヒラと落葉を舞わせます。積雪の冬、シンシンと降る粉雪が・・・、吊り橋には人影も殆どなくて、墨絵のような景色に包まれます。そして春から夏、「塔のへつり」は新緑と深緑に抱かれます。川面も青緑色になり、川岸ではタンポポやスミレがなどの野草たち、小さな昆虫を呼びます。繁った森では、合唱するかのような蝉たちの声が。訪れる人々も増え、少し揺れる吊り橋にコツコツと足音を響かせます。
100万年もの長い年月 をかけて造られた、天然の「塔のへつり」には、今年も時の流れが、季節の移ろいを添えて、静かに過ぎて行きます。(潮 信輔)
- 登録日
- 2014年04月02日
- 更新日
- 2016年11月25日 11時 33分