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秋の紅葉に包まれた山中温泉の「こおろぎ橋」と「あやとり橋」
山中温泉は、その名のとおり「山の中」にあって、一帯は鶴仙渓という景勝地です。自然豊かな山、谷、川など、山間部が織りなす景色は、素晴らしいものです。松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅でこの地を訪れ、8泊にわたる長逗留をしたとのこと。とくに大聖寺川に沿ってのびる鶴仙渓・・・、砂岩の浸食によってできた奇岩が列をなして、淵にただよう樹木、渓流が風情を醸し出します。遊歩道が設けてあり、四季おりおり、自然の散策を楽しむことができます。この渓谷には、「こおろぎ橋」と「あやとり橋」が架かっていて、山中温泉のシンボルになっています。 こおろぎ橋は、江戸時代に造られた有名な橋。平成2年に新に架け替えられましたが、総檜造りでかつての形や構造をほとんど変わっていないとのこと。四季の風情に情緒が加わった風雅な橋で、橋の両岸には、うっそうと木々が茂り・・・、橋から眺める鶴仙渓は絶景そのものです。とくにモミジは有名。また下を見れば、奇岩や怪石が突き出ていて、渓流がせせらぎを奏でて・・・。芭蕉は、「かがり火に河鹿や波の下むせび」と詠んでいます。 一方、あやとり橋は、あやとりを模した造形の橋。鮮やかな赤紫がひときわ目をひきます。草月流家元が図案化したという、ユニークな形のあやとり橋・・・。鮮やかな赤紫がひときわ目をひきます。比較的新しい橋で、竣工は1991年。上空からみると、S字型に湾曲した形が特徴で、子どものころに遊んだあやとりの橋のような形をしています。鋼鉄製で長さ94.7m、橋床の幅は1.5mの橋です。鉄骨の吊り橋でもあります。
これら2つの橋は架けられた時期、形、そして木橋と鉄骨橋・・・、対照的ですが、四季それぞれ、見る人の心を惹きつけます。橋を取り囲む木々、とくにモミジの推移が、風趣をかきたてます。
前に訪れた緑葉に包まれた風情が、秋の紅葉した時には、どのように推移しているかを感じたくて、晩秋に来ました。渓谷を渡ってくる涼風に、紅葉したモミジが揺れていました。私のこころも感動と思い出に揺れました。(潮 信輔)
- 登録日
- 2013年05月24日
- 更新日
- 2016年09月21日 11時 28分